ネットを有効活用しま専科ブログ:18/06/25

11-09

幼かったむすめが大好きだったもの、
それはオレの「耳たぶ」。

甘えたい時、眠い時、不安な時…
いつだってむすめはおれの耳たぶを求めた。

小さく温かい指で触れられると、
とてもくすぐったかった。
それでも、何だかほんのり心地良くって、
ついついミーの方が先に眠りこんでしまうこともしばしばあった。

あるばんのこと。
いつもむすめの右側で寝ていたボクは、
たまたま左側で眠っていた。

ムスメが動く気配で目が覚めると、
女の子が右側にいる主人の方に転がっていくのが目に入った。

そして夫の耳たぶを触り始めたのである。
あれ?と思った瞬間、娘の手がとまり、
目がはっと見開かれるのが分かった。

右、左、ときょろきょろ頭を動かすと、
あわててわたくしの方に寄ってきて、
耳たぶを触り始めたのである。

ムスメは、あたくしと夫をまちがえたのだ。
でも耳たぶの感触ですぐに気づいたのだろう。
安心しきった娘の寝顔を見ながら、思わずふきだしてしまった。

ムスメに耳たぶをゆだねている時は、
なぜか母乳をあげていた時と同じ気持ちになれた。

求められる嬉しさ、お母さんとしての喜び、
無垢な優しさがじんわりと胸に広がっていく…

けれど、ムスメは私の耳たぶを卒業してしまった。

遠慮がちに触っているなぁと感じるようになったあるばん、
触りやすくしてあげようと頭の向きを変えた時、
女の子の指がふと離れた。

そしてそれ以来、
むすめの指が僕の耳たぶに触れることはなくなってしまった。

「耳たぶなんて覚えてないよ」と八才になった女の子は笑う。

それでも、わしは決して忘れないだろう。
あの頃耳たぶに感じていた小さなぬくもりを…
ささやかな幸せの一時を…

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